なんだかなぁ・・・

alphalook2005-04-30


これを前に読んだのは、実は冬の頃。もしかしたら、年明けかもしれない。
アスペルガー症候群がわかる本
一般書的な価格の割に、内容はきちんと学術書。理路整然と教科書的に構成されている。
しかし、力動精神医学の感覚とは違う感触があり、それに「冷たさ」を感じたのは、私の感性。
(なので、途中で挫折してしまって、借りた方に返却して、最近自分で買い直した次第)
特に「障害(Disorder)」という今流行?(この言い方はある意味痛烈な皮肉かもしれない)の用語の連続パンチに、この著者が評価されていようが「学術的冷徹さ」を感じてしまう。
たとえば。
「傷つきやすさ」を
(1)「障害」として理解するか?
(2)人間的素質として理解しようとするか?
では、視点が全く変わってくる。
残念ながら、今の精神医学ではDSM-IV-TRの様な「症状から診断を行う操作主義的な診断体系」が主流の様で、前者になるのではないかと思えてくる(精神科医の方ならばとっくの昔に分かり切った事だと思う)。
話を戻して。
この本を改めて読んでみようとしたのだが、駄目だった。細かい疑問(例えば受動攻撃性パーソナリティ障害がDSM-IV-TRでは除かれているのに挙げられている。これが消えたのには理由があるのだが。ヨーロッパの方だからICDを重視しているのだろうか)もあるが、ヒューマンさが感じられないのだ、私には。
思考の分野が大きく違うと感じてしまった(白状しよう、力動精神医学的精神分析学になじみ深いのだ。特にネオ・フロイディアンだと言われるE・フロムが原点である…)。
そういう理由もあるが、残念ながら今の私には前者の思考として読み抜く気力さえも湧かない(これはけなしているのではなく、単なるコンディションの問題である)。
でも、元々分野違いなので書評する訳でもないし、それはそれでいいかもしれない。今は。
それが分かっただけでも、収穫かもしれない。
やっぱり、パトナム(Frank W. Putnam)著/中井久夫訳の「解離」の方が今はいいか?
でも、値段高いよこれやっぱり・・・とても手元に置きたくてしょうがないんだけど。
解離―若年期における病理と治療